予約を取らない喫茶店で試したら、この方法の限界が見えた
3業種目はカフェです。予約フォームがない業種で型が崩れるかを確かめました。結論から言うと崩れませんでしたが、崩れかけた場所が2つありました。
美容室、整体院と作ってきて、どちらも予約フォームが中心にありました。
今回はわざと予約のない業種を選びました。喫茶店です。この方法が「予約が必要な商売にしか使えない」のかどうかを確かめたかったからです。
できあがったもの
架空の喫茶店「つばき」のサイトです。
席の予約は受け付けていません。代わりに貸切・ケータリング・取材の問い合わせフォームを置きました。用件を選ぶと、必要な入力欄が出てきます。
結論:崩れなかった。ただし理由が変わった
予約フォームは要りませんでした。でも問い合わせフォームは要りました。
喫茶店に来る問い合わせは、種類が決まっています。
- 貸切のご相談(撮影、読書会、同窓会)
- ケータリング
- 取材・撮影
- 豆の卸
どれも頻度は低いです。月に1件あるかどうか。でも1件あたりの金額が大きい。 貸切1日でふだんの売上の何倍にもなります。取材が載れば新規のお客さんが来ます。
つまり取りこぼしたときの損失が大きい問い合わせです。Instagramのメッセージだと埋もれます。だからフォームが要る。
そしてフォームがある以上、送信を受け取る場所が要ります。 結局サーバーに戻ってきました。
崩れかけた場所①:日替わりメニュー
ここは正直に書きます。うまくいきませんでした。
喫茶店には日替わりがあります。本日の豆、日替わりの一品。これをサイトに載せると、毎日ファイルを書き換えることになります。
AIで作った静的なHTMLは、これが苦手です。1週間は続くかもしれませんが、1ヶ月は続きません。忙しい日に更新を飛ばして、そのうち止まります。止まったサイトは、情報がないサイトより悪い。 古い情報が載っているからです。
なので設計を変えました。
- 日々変わるものはInstagramに任せる
- サイトには週に一度更新すれば足りるものだけ置く
- そして「日々の入荷や営業のお知らせはInstagramで更新しています。このページは週に一度の更新です」と明記する
この一文があるだけで、古い情報を見た人が誤解しません。デモにも入れてあります。
崩れかけた場所②:そもそもサイトが要るのか
喫茶店なら、Instagramだけで足りるのではないか。実際そうしている店はたくさんあります。
これは正面から考える必要がありました。結論としては、役割が違います。
| ホームページ | ||
|---|---|---|
| 日々の様子 | 得意 | 苦手 |
| 営業時間・定休日 | 流れて埋もれる | いつでも同じ場所にある |
| アレルギー情報 | 載せにくい | 常設できる |
| Googleマップや検索から来た人 | プロフィールしか見えない | 全部見せられる |
| 貸切・取材の窓口 | DMは埋もれる | フォームで残る |
Instagramは「今日」を伝えるのが得意で、ホームページは「いつも」を伝えるのが得意です。 両方あるのが一番いい。片方だけなら、店の性質によります。
新規のお客さんが検索やマップから来る店なら、ホームページの価値は大きい。常連だけで回っている店なら、Instagramで足りるかもしれません。これは正直な話です。
用意するもの
| もの | 用途 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| AI(Claude / ChatGPT など) | サイトを作らせる | 無料枠でも可 |
| 公開場所 | サイトを外から見られるようにする | 無料サービス/有料サーバーなど |
| 問い合わせの受け取り先 | 内容を受け取り、管理する | 外部フォーム/既存サービス/自前の処理など |
| 独自ドメイン | 店独自のURLにする | 必要な場合だけ取得 |
必要なものは、どこまで店のサイト内で完結させたいかによって変わります。
実際に使ったプロンプト
全文置きます。太字の部分が、今回あらたに必要になった指示です。
喫茶店のホームページを1ファイルのHTMLで作ってください。
【店の情報】
店名:喫茶 つばき
場所:東京都千代田区神田神保町 神保町駅 A7出口から徒歩3分
創業:1978年
営業時間:8:00-19:00(L.O. 18:30)
定休日:水曜日
席数:18席(カウンター6/テーブル12)/全席禁煙/Wi-Fiあり
特徴:本を読みに来る人が多い。時間制限なし。焙煎は週に二度、店の奥で。
名物はない。コーヒーとナポリタンとプリンが、いつもと同じ味で出る店。
【おしながき】
ブレンド珈琲 550円 / 本日の珈琲 600円 / アイス珈琲 600円
紅茶(アッサム・アールグレイ)550円 / クリームソーダ 700円
ナポリタン 950円 / たまごサンド 800円 / トーストセット 650円(11時まで)
日替わりの一品 700円 / プリン 500円 / あんバタートースト 600円
※すべて税込
【入れてほしいもの】
・トップ、本日のご案内、おしながき、豆と店のこと、アクセス、お問い合わせ
・席の予約は受け付けていないことを明記
・お問い合わせフォームの用件は4つ:
貸切のご相談/ケータリング/取材・撮影/豆の卸・その他
・用件によって必要な入力欄を出し分けてください
貸切・ケータリング → 希望日と人数を必須にする
取材・撮影 → 掲載先・放送予定を必須にする
・希望日は1週間先から半年先まで。水曜(定休日)は選べないように
・電話番号は任意。ただし入力されていたら形式をチェックする
・入力 → 確認画面 → 完了、の3ステップにする
・スマホで見たときに崩れないようにする
【アレルギー表示について】
・小麦・卵・乳を使う品が多いことを書いてください
・ただし「完全に混入を防げる」とは書かないでください
・気になる場合は注文前に声をかけてほしい、という書き方にしてください
【日替わり情報の扱い】
・日々変わる情報はInstagramで更新する前提にしてください
・サイトには週に一度の更新で足りる情報だけを置いてください
・「このページは週に一度の更新です」と明記してください
【デザインの方向】
昔ながらの喫茶店の雰囲気。深い臙脂色と生成りの白。
見出しはレトロな明朝体。落ち着いた、少し古びた感じ。
派手さは要りません。
3業種やって分かったこと
入力欄を用件で出し分ける、という指示が通りました。 「貸切なら日付と人数、取材なら掲載先を必須に」と書くだけで、そのとおりのものが出てきます。前2回より複雑な要求ですが、具体的に書けば通ります。
アレルギーの書き方も、指示すれば配慮します。 何も言わないと「安心・安全」みたいな言葉を出してきますが、「完全に混入を防げるとは書かないで」と指定すれば守ります。整体院のときと同じで、AIは指示しない限り配慮しません。
そして判断するポイントが見えました。 問い合わせ窓口が必要かだけでなく、どこで受け取り、誰と共有し、どの程度自分向けに作り込みたいかで選ぶ方法が変わります。
予約、問い合わせ、資料請求は、外部フォームや既存サービスでも受け取れます。自分のサイト内で完結させたい、独自の入力や保存ルールを使いたい、複数人で状態を共有したい場合には、サーバー側の処理を持てる環境が便利です。
フォームを本当に動かすには
3回とも同じ壁です。
フォームの見た目も入力チェックも完成しますが、送信を押しても内容がどこにも届きません。 届け先がないからです。
受け取り方には、外部フォームや既存の問い合わせ管理サービスを使う方法と、自分の公開環境へ送信処理を置く方法があります。件数が少なければ外部サービスで十分な場合もあります。独自の項目や共有方法まで作りたい場合は、サーバー側の処理を持てる環境が候補になります。
つまずいたところ
日替わりを毎日更新する前提で作ってしまった 最初の試作では、本日の豆と日替わりをトップの一番上に大きく置きました。作った直後は格好いいのですが、これを毎日直すのは無理だと気づいて設計を変えました。作る前に「続けられるか」を考えるべきでした。
「こだわりの一杯」という言葉が出てきた 指示しないと、AIはこういう言葉を使います。悪くはないのですが、この店の性格に合いません。「名物はありません」という書き出しにしたら、店の雰囲気が出ました。AIが出した文章をそのまま使わないのが大事です。
電話番号を必須にしていた 問い合わせフォームで電話を必須にすると、離脱します。メールで足りる用件も多い。任意に変えました。必須項目は少ないほどいいという基本を忘れていました。
まとめ
3業種やって、手順はほとんど変わりませんでした。 変わるのは、その店のお客さんが何を知りたいかと、書いてはいけないことがあるかどうかだけです。
そしてこの方法には限界もあります。 毎日更新が必要な情報は向いていません。そこはSNSに任せて、サイトは「いつも変わらないこと」を担当するのが現実的です。
3業種で見えた境界線と、次に何を試すかはこちらにまとめています。
現在の比較基準は、無料公開とレンタルサーバーの違いにまとめています。